汗をかきすぎる(多汗症)——年齢別の診断・対策・治療を名古屋みなとクリニック(名古屋市港区・皮膚科)が詳しく解説

汗をかきすぎる(多汗症)——年齢別の診断・対策・治療を名古屋みなとクリニック(名古屋市港区・皮膚科)が詳しく解説

「手のひらが常に汗でびっしょりになる」「脇の汗が止まらない・臭いが気になる」「少し緊張しただけで顔から大量の汗が出る」「子どもが手汗がひどくて鉛筆が持てない」「閉経後から急に汗がひどくなった」——汗をかきすぎる「多汗症」は、仕事・勉強・対人関係に深刻な影響を与える疾患です。多汗症は「体質だから仕方ない」ではなく、適切な診断と治療で改善できます。名古屋市港区の皮膚科・名古屋みなとクリニックが、多汗症の原因・年齢別の特徴・診断・自分でできる対策・クリニックでの最新治療まで、わかりやすく詳しく解説します。


目次

  1. 多汗症とは何か——正常な発汗との違い
  2. 多汗症の2つのタイプ——原発性と続発性
  3. 多汗症の部位別分類——手・脇・顔・全身
  4. 多汗症が引き起こす生活への影響
  5. 【年齢別①】子ども・思春期の多汗症
  6. 【年齢別②】20〜40代(働き盛り)の多汗症
  7. 【年齢別③】更年期・閉経後女性の多汗症(ホットフラッシュ)
  8. 【年齢別④】高齢者の多汗症
  9. 多汗症の診断——スクリーニング・重症度評価
  10. 自分でできる対策——制汗剤・生活習慣・衣類の工夫
  11. 【クリニックの治療①】塩化アルミニウム外用(イオントフォレーシス)
  12. 【クリニックの治療②】ボツリヌス毒素注射(ボトックス)
  13. 【クリニックの治療③】抗コリン薬内服
  14. 【クリニックの治療④】ミラドライ(マイクロ波治療)
  15. 【クリニックの治療⑤】外科的治療(ETS手術)
  16. 多汗症と関連する疾患——わきが・臭汗症との違い
  17. よくある質問(FAQ)
  18. 名古屋みなとクリニックでの診療について

1. 多汗症とは何か——正常な発汗との違い

発汗の正常な役割

汗は体温調節に不可欠な生理機能です。暑さ・運動・精神的な緊張などに応じて汗腺が活動し、汗の蒸発による気化熱で体温を下げます。

多汗症の定義

**多汗症(Hyperhidrosis)**とは、体温調節に必要な量を超えた過剰な発汗が持続し、日常生活に支障をきたす状態を指します。

重要な点: 多汗症は「汗っかき」とは異なります。多汗症の発汗は、温度・運動量に不釣り合いな量であり、精神的なストレスが引き金になることが多く、日常生活・社会的活動に著しい影響を与えます。

多汗症の有病率

国内研究では日本人の多汗症(原発性局所多汗症)の有病率は約5.3%と推計されており、推定国内患者数は約500万人以上とされています。しかし実際に受診・治療を受けている方は少なく、多くの方が「体質だから仕方ない」と放置しています。


2. 多汗症の2つのタイプ——原発性と続発性

原発性多汗症(Primary Hyperhidrosis)

明確な基礎疾患なく発汗過多が生じるタイプです。手・脇・足・顔・頭部などの特定の部位に局所的に発症することが多く(局所多汗症)、精神的な緊張・ストレスで悪化します。

診断基準(原発性局所多汗症:以下の項目のうち2つ以上):

  • 両側性・ほぼ対称性に発汗する
  • 週1回以上の多汗エピソードがある
  • 25歳以下で発症した
  • 睡眠中(夜間)は発汗しない
  • 家族歴がある(遺伝的素因)
  • 日常生活・社会的活動に支障をきたしている

続発性多汗症(Secondary Hyperhidrosis)

基礎疾患(全身疾患・薬剤)が原因で発汗過多が起こるタイプです。全身性・非対称性の発汗が特徴で、夜間にも発汗します。

続発性多汗症の主な原因:

分類原因となる疾患・薬剤
内分泌・代謝疾患甲状腺機能亢進症・糖尿病・肥満・更年期(ホットフラッシュ)
神経疾患パーキンソン病・脊髄損傷・脳卒中後
感染症結核・HIV感染症(夜間発汗が特徴的)
悪性腫瘍リンパ腫(夜間発汗)
薬剤性抗うつ薬(SSRI等)・解熱薬・一部の降圧薬
精神疾患不安症・パニック症

「夜間に大量の発汗がある」「体重減少・発熱を伴う」「汗が全身性」という場合は続発性多汗症の可能性があり、原因疾患の精査が必要です。


3. 多汗症の部位別分類——手・脇・顔・全身

手掌多汗症(手の多汗症)

手のひらに過剰な発汗が生じる状態で、原発性多汗症の中で最も多いタイプです。

生活への影響:

  • 鉛筆・ペンが滑る(学業・仕事に支障)
  • 書いた文字・紙が濡れる
  • 握手・人と手をつなぐことへの強い抵抗感
  • スマホ・タブレットの操作に影響
  • 楽器(ピアノ・ギター等)演奏への影響

腋窩多汗症(脇の多汗症)

脇の過剰な発汗で衣類の汗染み・体臭が問題になるタイプです。多汗症の中で治療を求める方が最も多い部位です。

顔面多汗症(顔の多汗症)

顔・頭部への過剰な発汗です。少しの緊張・運動でも顔から大量の汗が流れ落ち、社会的な場面での支障が大きいです。

足底多汗症(足の多汗症)

足の裏の発汗が多く、靴が蒸れやすい・臭いが気になる・靴の中で足が滑るなどの問題が生じます。手掌多汗症と合わせて発症することが多いです。

全身性多汗症

全身の広範な発汗が問題になるタイプ。続発性多汗症(基礎疾患)の可能性が高く、精査が必要です。


4. 多汗症が引き起こす生活への影響

多汗症は医学的な疾患であると同時に、精神的・社会的な影響が非常に大きい状態です。

QOL(生活の質)への影響

学業・仕事への影響:

  • テスト用紙が濡れる・字が書けない
  • パソコン・スマホ操作への影響
  • 書類・商品を汚す不安
  • 接客業での握手・書類の受け渡しへの恐れ

対人関係への影響:

  • 握手・人と触れることを避ける
  • 衣類の汗染みを隠すために濃い色の服しか着られない
  • 体臭への強い不安
  • 合コン・デートへの強い抵抗感

精神的な影響:

  • 社交不安症との高い合併率
  • 自己嫌悪・羞恥心
  • 「自分だけがこんなに汗をかく」という孤立感

多汗症とメンタルヘルス

多汗症患者の約30〜40%がうつ病・不安症を合併するという研究があります。多汗症そのものが精神的苦痛の原因となり、精神的問題が多汗症をさらに悪化させるという悪循環が生じます。


5. 【年齢別①】子ども・思春期の多汗症

子ども・思春期の多汗症の特徴

原発性局所多汗症の発症は25歳以下に多く、特に**思春期(13〜19歳)**に初発または悪化することが多いです。

子どもの多汗症が問題になる場面

学校生活:

  • 手汗で鉛筆が持てない・文字を書くのが苦手
  • テスト用紙が濡れて書けない・破れる
  • 理科の実験・技術家庭での作業に支障
  • 体育の授業・スポーツでの握りへの影響

対人関係:

  • 友達と手をつなぐことへの恐れ(幼稚園〜小学生)
  • 思春期の部活・文化祭等での人前での緊張→多汗の悪化
  • 体臭への強い意識(特に脇汗・足汗)

親の対応で大切なこと

子どもの多汗症に対して「気にしすぎ」「年を取れば治る」と放置することは問題です。

  • 「汗をかくことを責めない」:子どもが汗に対して過度な羞恥心・自己嫌悪を持たないよう関わる
  • 早めに皮膚科を受診して対処法を知る
  • 学校への配慮依頼(テスト時のタオル使用許可等)を検討する

子どもに使える治療

塩化アルミニウム外用(塩化アルニウムローション): 子どもにも使用できる安全性の高い治療です。手掌・腋窩への塗布が有効。

イオントフォレーシス: 水道水を使った電気を流す治療で、子どもにも使用できます。

ボツリヌス毒素注射・内服薬は、年齢・重症度に応じて検討します。


6. 【年齢別②】20〜40代(働き盛り)の多汗症

仕事・社会生活への影響が最大の年代

20〜40代は仕事・対人関係・恋愛・結婚など、社会的な活動が最も活発な時期です。この年代での多汗症は、QOL(生活の質)への影響が最も大きくなります。

職場での問題

書類・デスクワーク: 書類への汗染み・パソコンのキーボードが濡れる・ハンコを押す際に用紙が濡れる

接客・営業・医療職: 握手・名刺交換・患者への接触の際の汗への強い不安

エンジニア・料理人: 機器・包丁の握りへの影響

職場でのカミングアウトと配慮

多汗症は外見では気づかれにくい疾患ですが、当事者の苦痛は非常に大きいです。信頼できる上司・同僚への相談・職場環境の調整(室温の管理・制服の素材変更など)が助けになることがあります。

20〜40代に有効な治療

この年代では社会的活動に影響が大きいため、ボツリヌス毒素注射(ボトックス)が最も即効性・効果の高い治療として選択されることが多いです。腋窩では保険適用があります(後述)。


7. 【年齢別③】更年期・閉経後女性の多汗症(ホットフラッシュ)

更年期のほてり・発汗(ホットフラッシュ)とは

閉経前後(一般的に45〜55歳頃)に生じるエストロゲン(女性ホルモン)の急激な低下によって、突然の強いほてり・発汗・動悸・顔面紅潮が起きる状態をホットフラッシュといいます。

これは原発性多汗症とは異なる**続発性多汗症(ホルモン低下が原因)**です。

更年期の発汗の特徴

  • 突然・波のように押し寄せる強いほてり感
  • 顔・頸部・胸部から大量の発汗
  • 夜間の発汗(ナイトスウェット)→睡眠障害の原因に
  • 動悸・不安感・気分の落ち込みを伴うことがある
  • 1回の発作は数秒〜数分続く
  • 発作の頻度は個人差が大きい(1日1〜2回から1時間に数回まで)

更年期のほてり・発汗への治療

ホルモン補充療法(HRT): エストロゲン(±プロゲステロン)の補充が最も効果的な治療です。ホットフラッシュ・夜間発汗の50〜90%が改善するとされています。

  • 経口錠・皮膚パッチ・ゲル等の剤形あり
  • 血栓症・乳がんリスク等の検討が必要→婦人科・内科での評価
  • 短期間の使用(一般的に5年以内)が推奨されることが多い

HRTが使えない場合の代替治療:

  • 漢方薬(加味逍遥散・桂枝茯苓丸等)
  • SSRIやSNRI(低用量):ホットフラッシュへの効果が報告されている
  • 抗コリン薬(オキシブチニン等)
  • 生活習慣の改善(体重管理・有酸素運動・禁煙)

8. 【年齢別④】高齢者の多汗症

高齢者の発汗に関する注意点

高齢者では一般的に発汗機能が低下(低汗症)する傾向がありますが、以下の場合に多汗症が問題になることがあります。

続発性多汗症の可能性を考慮: 高齢者での突然の多汗症の発症・夜間発汗には、以下の疾患が隠れている可能性があります。

  • 悪性腫瘍(リンパ腫・固形がん)
  • 甲状腺機能亢進症
  • パーキンソン病
  • 感染症(結核・心内膜炎等)
  • 薬剤性(降圧薬・抗パーキンソン薬等)

「高齢になってから急に汗が増えた」「夜間に大量の汗をかく・ぐっしょりになる(ナイトスウェット)」「体重減少・発熱を伴う」という場合は、必ず医療機関を受診して原因疾患の精査を受けてください。

高齢者特有の多汗症

代償性発汗: 加齢・糖尿病等により身体の一部の発汗機能が低下した結果、他の部位で代償的に発汗が増加する状態。

食事性発汗(フレイの症候群): 食事中・食後に顔・首・頭部が発汗する状態で、高齢者・糖尿病患者に多いです。


9. 多汗症の診断——スクリーニング・重症度評価

HDSS(多汗症疾患重症度スケール)

多汗症の重症度を評価する標準的なスケールです。

スコア評価内容
1点発汗は気にならず日常生活に影響なし
2点発汗は我慢できるが日常生活に支障を来すことがある
3点発汗は我慢できないことがあり日常生活に頻繁に支障
4点発汗は我慢できず日常生活に常に支障

HDSS 3〜4点が治療の対象とされます。

受診時に伝えること

皮膚科を受診する際に以下の情報を準備しておくと、診断がスムーズになります。

  • 発汗が多い部位(手・脇・顔・足・全身)
  • 発汗のタイミング(緊張時・常時・夜間も)
  • 発症した年齢・いつ頃から気になるか
  • 日常生活・仕事への具体的な影響
  • 家族に多汗症の人がいるか
  • 現在の内服薬
  • 全身症状(発熱・体重減少・動悸等)の有無

検査

続発性多汗症が疑われる場合:

  • 血液検査(甲状腺機能・血糖・炎症マーカー等)
  • 胸部X線・その他画像検査

原発性多汗症の場合は、問診・視診・HDSS評価が中心で、特別な検査は通常不要です。


10. 自分でできる対策——制汗剤・生活習慣・衣類の工夫

市販の制汗剤の選び方

塩化アルミニウム含有の制汗剤(デオドラント): アルミニウムイオンが汗腺を収縮・閉塞させることで発汗を抑制します。

ロールオン・スティックタイプが腋窩に使いやすい。 スプレータイプは即効性があるが持続時間が短い。

使い方のポイント:

  • **就寝前(清潔な状態)**に塗布するのが最も効果的(日中より夜間は発汗が少なく、成分が汗腺に浸透しやすい)
  • 毎日継続使用することで効果が出やすい

生活習慣の工夫

発汗を悪化させる食品を控える:

  • カフェイン(コーヒー・お茶・エナジードリンク):交感神経を刺激して発汗を促進
  • アルコール:血管拡張→体温上昇→発汗増加
  • 辛い食べ物(唐辛子等):味覚性発汗を引き起こす

体重管理: 肥満は体温上昇・発汗増加の原因になります。適正体重の維持が多汗症の改善につながります。

ストレス管理: 精神的なストレスは交感神経を刺激して多汗症を悪化させます。リラクゼーション(深呼吸・マインドフルネス・趣味)がストレス性の発汗を軽減します。

衣類・グッズの工夫

  • 吸汗・速乾素材の衣類: ポリエステル等の機能性素材
  • 脇汗パッド(汗取りパッド): 衣類への汗染みを防ぐ
  • 手汗対策グッズ: 汗取りグローブ・麻素材の手拭き
  • 換気・通気性の確保: 室温管理・扇風機の活用

11. 【クリニックの治療①】塩化アルミニウム外用(イオントフォレーシス)

塩化アルミニウム外用

**皮膚科で処方できる高濃度の塩化アルミニウム外用薬(20%程度)**は、市販の制汗剤より格段に高い効果を発揮します。

使用方法: 就寝前に清潔な乾燥した皮膚に塗布し、翌朝洗い流します。週1〜3回の使用から始めて、効果を見ながら頻度を調整します。

適応部位: 腋窩・手掌・足底 副作用: 皮膚刺激感・かぶれ(低刺激の製品への変更・使用頻度の調整で対処)

イオントフォレーシス

水道水を満たした水槽に手・足を浸け、微弱な電流を流すことで汗腺機能を一時的に低下させる治療です。

適応: 手掌多汗症・足底多汗症に特に有効 治療の流れ: 最初は週2〜3回の施術を行い、効果が出たら維持のために月1〜2回に減らします 副作用: 皮膚の刺激感・手足のヒリヒリ感(一過性)・金属を体内に入れている方は禁忌


12. 【クリニックの治療②】ボツリヌス毒素注射(ボトックス)

ボツリヌス毒素注射とは

ボツリヌス毒素(Botulinum toxin)を多汗症の部位に注射することで、汗腺を支配する神経(コリン作動性神経)の信号伝達を遮断し、発汗を抑制する治療です。

腋窩多汗症への保険適用

**2020年から腋窩多汗症(脇の多汗症)へのボツリヌス毒素注射(ボコニューズ)が保険適用となりました。**これにより、保険診療として受けられるようになった重要な治療選択肢です。

適応条件(保険診療):

  • 原発性腋窩多汗症と診断されていること
  • HDSSスコア3〜4点
  • 塩化アルミニウム外用(20%)4週間以上使用で効果不十分

治療の流れと効果

1回の治療: 腋窩の広範囲(通常両側)に対して、ボツリヌス毒素を複数箇所(20〜30か所程度)に注射します。施術時間は30〜60分程度です。

効果の発現と持続:

  • 注射後1〜2週間で効果が出始め、2〜4週間でピークに達します
  • 効果の持続期間:通常4〜12ヶ月(個人差あり)
  • 効果が薄れたら再度注射(保険診療では年1〜2回が目安)

副作用:

  • 注射時の痛み(局所麻酔クリームで軽減可能)
  • 注射部位の内出血
  • 代償性発汗(他の部位での発汗増加):まれ

手掌・顔面への適用(自由診療)

手掌・足底・顔面への適用は現時点では自由診療(保険外)です。手掌は痛みが強いため、局所麻酔が必要なことが多いです。


13. 【クリニックの治療③】抗コリン薬内服

抗コリン薬とは

交感神経のコリン作動性受容体(ムスカリン受容体)を遮断することで、全身の発汗を抑制する内服薬です。

多汗症に使用される主な抗コリン薬

プロパンテリン臭化物(プロ・バンサイン): 古くから多汗症に使用されてきた薬剤です。

オキシブチニン(ポラキス・ネオキシテープ): 過活動膀胱への保険適用があり、多汗症にも効果があります(保険外使用が多い)。

グリコピロニウム(ラピフォートワイプ・エクロックゲル): 腋窩多汗症に対する外用抗コリン薬として日本でも使用可能になっています。

抗コリン薬の副作用

全身的な抗コリン作用により、以下の副作用が生じることがあります。

  • 口渇(最も多い)
  • 便秘
  • 尿閉(前立腺肥大症がある男性は要注意)
  • かすみ眼・眼圧上昇(緑内障禁忌)
  • 頻脈

副作用のために全量服用できない場合は、より副作用が少ない外用抗コリン薬が有用です。


14. 【クリニックの治療④】ミラドライ(マイクロ波治療)

ミラドライとは

マイクロ波エネルギーを用いて腋窩の汗腺・アポクリン腺を永続的に破壊する非侵襲的な治療です。

特徴:

  • 1〜2回の施術で永続的な効果が期待できる
  • 手術不要(切開なし)
  • 汗だけでなくわきがの原因(アポクリン腺)にも同時に作用
  • ダウンタイム:術後1〜2週間の腫れ・痛みあり

副作用:

  • 施術後数日〜数週間の腫れ・痛み・しびれ
  • まれに皮膚の硬結・瘢痕

費用: 自由診療(保険外)。両側施術で30〜40万円程度が相場(施設により異なる)。


15. 【クリニックの治療⑤】外科的治療(ETS手術)

内視鏡的胸部交感神経遮断術(ETS)

胸腔内視鏡を使って胸部の交感神経節を焼灼・クリッピングする手術で、手掌多汗症に対して非常に高い成功率(90〜95%)が報告されています。

適応: 他の治療が無効な重症の手掌多汗症

問題点——代償性発汗: ETSの最大の問題点は**代償性発汗(Compensatory Sweating)**です。手掌の発汗が解消される代わりに、体幹・背中・太もも等に大量の汗をかくようになることがあります。この代償性発汗は手術後ほぼ全員に生じ、程度が強い場合には「手術をしなければよかった」と後悔するケースもあります。

ETS手術は最後の手段として位置づけられており、他の治療法(ボツリヌス毒素・塩化アルミニウム・イオントフォレーシス等)を十分試みてから検討することが重要です。


16. 多汗症と関連する疾患——わきが・臭汗症との違い

わきが(腋臭症:アポクリン臭汗症)との違い

比較多汗症(腋窩多汗症)わきが(腋臭症)
主な問題汗の量が多すぎる特有の臭い
原因汗腺エクリン汗腺(無臭の汗)アポクリン汗腺(臭いの原因)
合併わきがを合併することもある多汗症を合併することもある
治療塩化アルミニウム・ボトックス等ミラドライ・外科的手術

注意: 「脇が臭い」=わきがではありません。多汗症による大量のエクリン汗が雑菌の増殖を促し、臭いが強くなる「臭汗症」も原因として重要です。

汗腺の種類と役割

エクリン汗腺: 全身に分布・体温調節が目的・ほぼ無臭の汗を産生。多汗症の主な原因。

アポクリン汗腺: 脇・陰部・耳内等に分布・タンパク質・脂肪等を含む汗を産生。皮膚の細菌に分解されると臭いが生じる(わきがの原因)。


17. よくある質問(FAQ)

Q. 多汗症は体質だから治りませんか?

A. 治療で大きく改善できます。特にボツリヌス毒素注射は腋窩多汗症に対して非常に効果が高く、保険適用もあります。「体質だから仕方ない」と諦めずに皮膚科を受診してください。

Q. 子どもの手汗がひどいです。何歳から治療できますか?

A. 塩化アルミニウム外用・イオントフォレーシスは子どもでも使用できます。ボツリヌス毒素注射も重症例では小学生以降から行われることがあります。まず皮膚科でご相談ください。学校生活への影響が大きい場合は、早めの受診をお勧めします。

Q. 腋窩多汗症のボツリヌス毒素注射は保険で受けられますか?

A. はい。2020年から原発性腋窩多汗症(脇の多汗症)に対するボツリヌス毒素注射(ボコニューズ)が保険適用となりました。ただし適応条件(HDSS 3〜4点・塩化アルミニウム外用での効果不十分)を満たす必要があります。

Q. ホットフラッシュ(更年期の発汗)と多汗症はどう違いますか?

A. ホットフラッシュはエストロゲン低下による続発性多汗症で、原発性多汗症とは原因が異なります。ホットフラッシュにはホルモン補充療法(HRT)が最も効果的ですが、婦人科・内科での評価が必要です。「更年期かな?多汗症かな?」と迷っている場合は皮膚科・婦人科の両方に相談することをお勧めします。

Q. 夜間に大量の汗をかきます。多汗症ですか?

A. 原発性多汗症は通常、睡眠中には汗が少なくなる特徴があります。夜間に大量の発汗(ナイトスウェット)がある場合は、悪性腫瘍(リンパ腫等)・感染症(結核・HIV)・甲状腺疾患・更年期などの続発性多汗症の可能性があります。必ず医療機関を受診して原因を調べてください。


18. 名古屋みなとクリニックでの診療について

名古屋市港区にある**名古屋みなとクリニック(皮膚科)**では、多汗症・わきがの診断・治療に対応しています。

当院で対応できる主な内容

  • 多汗症の診断・重症度評価(HDSS)
  • 続発性多汗症の鑑別・原因疾患の精査
  • 塩化アルミニウム外用薬の処方
  • イオントフォレーシス(手掌・足底多汗症)
  • 腋窩多汗症へのボツリヌス毒素注射(保険適用)
  • 手掌・顔面へのボツリヌス毒素注射(自由診療)
  • 抗コリン薬の処方
  • わきがとの鑑別・臭汗症への対応
  • 更年期のほてり・発汗への相談・紹介

こんな方はぜひご相談ください

  • 手・脇・顔・足の汗が多くて日常生活に支障がある
  • 子どもの手汗がひどくて学校生活が大変
  • 仕事での握手・書類への汗で悩んでいる
  • 腋窩多汗症のボツリヌス毒素注射(保険診療)を受けたい
  • 更年期からひどくなった発汗の相談がしたい
  • 夜間の大量発汗が気になる(原因を調べたい)
  • わきがと多汗症どちらか・両方か判断してほしい

「汗をかきすぎる」という悩みは、適切な治療で大きく改善できます。「これくらいで…」と遠慮せず、まずはご相談ください。


まとめ

  • 多汗症は体温調節に必要な量を超えた発汗で日常生活に支障をきたす医学的疾患です
  • 原発性(特定部位・精神緊張で悪化・夜間は少ない)と続発性(基礎疾患が原因・夜間発汗あり)を鑑別することが重要です
  • 子ども・思春期は学業・対人関係への影響が大きく早めの対応が大切です
  • 更年期のホットフラッシュはエストロゲン低下が原因でHRTが有効です
  • 夜間の大量発汗は続発性多汗症(悪性腫瘍・感染症等)の除外が必要です
  • 腋窩多汗症へのボツリヌス毒素注射は2020年から保険適用となりました
  • 「体質だから仕方ない」は誤りで、塩化アルミニウム・ボトックス・イオントフォレーシス等で改善できます

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