脱毛に対するエキシプレックス308の有効性

名古屋市港区・名古屋みなとクリニック


エキシプレックス（Exciplex 308）は、308nmのナローバンドUVBに近い波長を利用したエキシマライト治療器です。
白斑・乾癬・アトピー性皮膚炎などの治療目的で広く使用されていますが、近年は脱毛症（円形脱毛症・びまん性脱毛症）への有効性も注目されています。

ここでは、エキシプレックス308が“なぜ脱毛に効くのか？”“どのような症例に効果的か？”を、医師の視点からわかりやすく解説します。

1. エキシプレックス308とは？

エキシプレックスは、308nmという炎症性皮膚疾患に最も効果的とされる波長域に特化した紫外線治療器です。

炎症を抑える

過剰な免疫反応を正常化する

表皮細胞のターンオーバーを整える

といった作用を持ち、自己免疫反応が関与する疾患に高い効果を発揮します。

2. なぜ脱毛（円形脱毛症）に効くのか？

円形脱毛症の最大の原因は**免疫異常（自己免疫）**です。
毛根が “異物” と認識され、自己免疫が攻撃してしまうことで毛が抜け落ちます。

エキシプレックス308には次のような作用があります。

● (1) 免疫の過剰反応を抑える

308nmの光には、Tリンパ球（特に自己免疫を担うT細胞）を調整する作用があります。

▶ 毛包周囲の炎症を抑制し、攻撃を止める
→ 毛根が回復し、再び毛が生える状態に戻る

これは円形脱毛症の根本原因にアプローチする大きなメリットです。

● (2) 成長期毛の誘導（毛周期の正常化）

毛包に適度な刺激が加わることで、
休止期 → 成長期 への移行が促され、毛が再び生えやすくなります。

▶ 生えてこなかった部分に産毛 → 太い毛へと移行しやすくなる

● (3) 血流改善による毛母細胞の活性化

308nmの光刺激は局所の微小血流を改善する効果も示唆されています。

▶ 毛母細胞（毛を作る細胞）が活性化
▶ 発毛スピードが向上

3. どんな脱毛に効果がある？
① 円形脱毛症（軽症〜中等症）

最も効果が期待できる適応です。
以下のケースでは特に高い効果が認められています。

発症が比較的早期

軽度〜中等度の円形脱毛症

数が少ないタイプ（単発性・多発性）

ステロイド外用・内服で戻りにくい症例

子ども〜高齢者まで幅広く適応

週1〜2回の照射で、8〜12週ほどで発毛が確認できるケースが多いです。

② びまん性脱毛症の一部（炎症性が疑われるもの）

掻き壊しによる脱毛

アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎が背景にある脱毛

炎症が長引き、毛包が弱っているケース

炎症を抑えつつ発毛を促すため、効果が出る場合があります。

③ 円形脱毛症の難治例（補助治療として）

単独では難しくても、以下と併用すると改善率が上がります。

ステロイド外用

ステロイド局注

JAK阻害薬（塗り薬）

プラセンタ注射

エクソソーム治療

育毛メソセラピー

“毛根の炎症鎮静”という役割を担うため、コンビネーション治療との相性が非常に良いです。

4. 治療回数と治療期間の目安

脱毛症はすぐに結果が出ないため、継続が鍵となります。

● 治療頻度

週1〜2回照射

● 効果の目安

4〜6週間：産毛が出始める

8〜12週間：明らかな発毛

3〜6ヶ月：多くの症例で治療効果を実感

早期治療ほど改善率が高くなります。

5. 痛みや副作用は？

エキシプレックスは“ターゲット型紫外線治療”のため、照射範囲が限定され、副作用が少ないことが特長です。

● 副作用として起こり得るもの

赤み

軽度のヒリつき

色素沈着

水疱（きわめて稀）

いずれも一時的で、通常数日で自然に改善します。

6. エキシプレックス308が向いている方

円形脱毛症が治らない

病院で「原因不明」と言われた脱毛がある

ステロイド外用・内服に抵抗がある

子どもの脱毛（小児円形脱毛症）を治したい

副作用の少ない治療を希望

他院で治療しても効果を感じなかった

紫外線治療は歴史が長く、安全性が非常に高い治療のため、小児から高齢者まで幅広く安心して行えます。

まとめ：エキシプレックス308は「免疫性脱毛」に特に有効な治療

エキシプレックスは、

自己免疫を正常化

毛根の炎症を抑制

毛周期を整え、発毛を促進

副作用が少なく安全性が高い

といった特徴から、円形脱毛症に最も適した治療のひとつです。

名古屋みなとクリニックでは、
脱毛の原因をしっかり診断し、症状に合わせてエキシプレックス・外用薬・内服・注射治療を組み合わせて最適な治療をご提案しています。

脱毛でお困りの方は、早めの受診をおすすめします。